私たちが住んでいるこの社会の中にはいろいろな世代が常に一緒に生活しています。
身近な家族で考えてみましょう。おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、お
姉さん、お兄さん、弟、妹など、家庭によって構成は様々ですが、本来子どもは生まれ
た時から年齢が違う者同士の中で生活しています。
昔は地域の中の結びつきが強く、いろいろな年齢層の交流があって、社会のルールや
約束事など遊びを通して学ぶチャンスがありました。よい手本となる人物がいたのです。
しかし今は地域での結びつきも弱まり異年齢が混ざって遊ぶ事は少なくなりました。た
とえ兄弟がいても上の子は弟・妹の経験は出来ず、下の子たちはその逆です。
このことからのぞみ幼稚園では、1クラス3歳・4歳・5歳児が一緒に生活を共にする異
年齢クラスにしています。クラスがひとつの家族のように生活していく中でいろいろなこ
とが起こります。はじめからみんな仲良く出来るわけではありません。喧嘩をしたり、仲
良くしたりを繰り返す中で人の痛みや気持ちがわかってきます。認め合うことで共に成
長していきます。
年長児は年少児の世話をすることによって思いやること、責任をもって守ることを知りま
す。優しさ、強さとは、弱い者を大切にする事であり、やがてたくましく生きる力が育まれ
ます。教師はこの子どもたちが自ら考え行動する人間として成長し自立していくために
必要な援助をしていきます。
ひとり一人の子どもの顔つきが違うように、趣味や関心も違い、成長のペースも違うのが当
然です。個々の独自性を持ったかけがえのない存在として、集まっている子どもの数だけ多
様性も存在するわけです。「ひとり一人を大切にする教育」とは、ひとり一人の多様性を受け
止め認め合うところから始まります。どうも私たち大人は、「皆同じ」であれば安心する傾向
にあります。ときとして「皆同じ」が「平等」と混同され、人と違うことを嫌う子どもの見方を誤っ
てしまうこともあります。
人はひとり一人違うのが当然です。この多様性は真の豊かさではないでしょうか。いろいろな
人格と出会い共に生活する中で理解し尊重し合う心が養われます。子どもたちが「みんな違
っていいんだよ。あなたはあなたのままでいいんだよ。」と、自分の存在そのままを認められる
ことはとても大切です。こうして周囲の大人や友達から「受け入れられた、認められた、愛され
た、ほめられた。」といった経験は、やがて人を認め愛することができる生き方に結び付きます。
のぞみ幼稚園では子どもの能力や生活など、発達に合った環境を準備し、ひとり一人に合っ
た方法で子どもたちが持っている能力を伸ばし、また不得意な事もその子に合った援助をし励
ましながら、「出来た」という喜びを共にし成長を助けていきます。個々の持っている素晴らしい
ものに周りの大人が気付き伸ばしていくことはとても大切です。